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雲南のコーヒー文化

 長いお茶の歴史を持つ中国・雲南省ですが、ここ雲南省はまた、知る人ぞ知る“雲南コーヒー”の産地でもあります。

コーヒー産地の地理的条件
 世界のコーヒーは、主に“コーヒーベルト”と呼ばれる、赤道を挟んだ南北の回帰線(北緯・南緯約25度)内の熱帯・亜熱帯地域で栽培されています。中国最大のコーヒー産地である雲南省は、北緯21.8度から29.15度に位置しているため、コーヒー産地としてはぎりぎりの位置にある、と言えるでしょう。
 特異な地理環境と地形により、省内に様々な気候帯を持つ広大な雲南省では、省の西から南にかけての標高500~1500mくらいの所に、コーヒー栽培に非常に適したエリアが広がっています。
 赤道付近では、2000m以上の高地で栽培されているコーヒー産地もあるようですが、回帰線に近づくにつれて、気温が低めに変動するため、雲南省では500m辺りの低地でも栽培が可能となります。

 


コーヒー産地の気候的条件
 一般的に、良質なコーヒー産地の条件としては、霜害のない標高1000~2000mほどの雲や霧の発生しやすい高地で、年間の平均気温が20度前後で気温の年較差が少なく、一日の昼夜の気温差が適度にあるところが望ましい、と言われています。また、年間1600~2000mm程度の降水量があり、乾季と雨季がはっきりと分かれている気候が適しており(乾季と収穫期が一致する必要があります)、有機質に富んだ水はけの良い肥沃な土地で、火山性の土壌が良いようです。
 海南島や広東省の一部でもコーヒー栽培が行われているようですが、その多くがインスタントコーヒー用に使われるロブスタ種であり、高付加価値品種でないということもあり、あまり知られてはいません。

 


雲南省のコーヒー栽培の歴史
 中国でのコーヒー栽培の歴史は、史料によると、1884年に台湾でコーヒー栽培に成功したのが始まりのようです。
 中国大陸部では、1902年、フランス人宣教師が北緯26度、海抜1400mの大理賓川県に植えたのが最初と言われており、この時持ち込まれた品種が、アラビカ種の原種に最も近いティピカ種とブルボン種でした。その後、この一部が雲南のその他の地域(河口、開遠、鶴慶、双柏、大姚等)に拡散していったようです。
 そして、1914年に瑞麗県のジンポー族がコーヒーの試植に成功しました。当初は庭園の観賞用目的だったようですが、1950年代初頭に潞西や保山エリアに持ち込まれ、政府の後押しもあって急速に広がっていきました。
 ところが、広まるのも早ければ廃れるのも早く、1970年代中期には、当初の栽培地域の90%以上がなくなり、雲南コーヒーは絶滅の危機に瀕しました。
 しかし、1998年に政府と国連開発計画(UNDP)によってコーヒー栽培が再開され、さらに同年には、ネスレ社がプーアルエリアに合資会社を設立、クラフト社が続くなど、雲南のコーヒー栽培は多産型の改良品種(カチモール種)を中心に再び賑わってきました。
 その後、ネスレ社や関係機関等の産地農場への技術指導や資金援助、さらに外資企業等の進出により、雲南コーヒーは徐々に品質も向上し、安定生産も可能となってきました。

 


雲南コーヒーの現在とこれから
 現在、雲南コーヒーは国内インスタントコーヒーの原料や加工コーヒー原料としての輸出が多く、中国国内での本格的なコーヒー文化の浸透とコーヒー豆の需要開拓には、まだまだ時間がかかりそうです。とは言え、中国のコーヒーに対する潜在的な可能性は計り知れないものがあり、市場の開発と産地の発展が今後急速な勢いで進んでいくものと思われます。
 現在、雲南コーヒーは昆明空港やスーパー等、省内のいろいろな所で手に入れることができます。しかし、一口に“雲南コーヒー”と言っても、品種の違い、農場の違い、加工方法・管理方法の違い等々、同じ産地のコーヒーでも品質が全く異なります。前記のような場所で販売されている雲南コーヒーのほとんどは、正直、決してお勧めできるものではありません。実際、良質な雲南コーヒーは非常に香りがよく、苦味・酸味・甘味等のバランスがとれた、マイルドで上品な風味を持っています。

 雲南にお越しの際は、おいしい雲南コーヒーを探し歩いてみるのも面白いかもしれません。そして、時間があれば、雲南コーヒーの産地で少数民族の人たちの生活に触れてみるのもいいでしょう。きっと素敵な思い出になるはずです。

 

※上記本文中の写真は、一部、写真家の伊藤真理氏撮影のお写真を使用させていただ
 きました。


 (文・写真=村田 考市)
1970年生まれ。山口県出身。2003年より、雲南最高級のコーヒー生産体制を確立すべく、ミャンマー国境近くのコーヒー産地(保山市)で、現地少数民族の人たちと、良質なコーヒー農園の開発やコーヒー豆の精製に取り組んでいる。
 雲南コーヒーに関するご質問は何でもどうぞ。
  E-mail:murata@qs-coffee.com
 コラム『雲南コーヒー園物語』もお読みください。
  http://www.9393.co.jp/qinfo/murata/archive/070314_murata.html

⇒雲南省の地理

⇒雲南省の気候

⇒雲南省の特産物

⇒雲南省の日本料理屋

⇒保山市の概要




 

     
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